馬路社会教育振興会発行の「城上山」(TEL0854-88-2530,代表者:松浦裕)昭和59年12月25日発行第20号に、矢迫吟行の表題で、漢詩が紹介(田中実則氏)されている。その中に、明治時代の仏教哲学者、井上円了(フリー百科事典:Wikipedia)が琴ヶ浜を賛美している
”馬路浜頭水行の傍り かつて聞く 此地琴名あるを
白浜一帯清きこと洗うが如く 歩々自ら成る天の楽声”
ー井上円了ー
井上円了がいつ馬路を訪れたのかこの時点では不明であるが、井上円了は、安政5年2月4日(1858年3月18日) - 1919年(大正8年)6月6日)の時代の哲学者である。明治時代の活躍者であり、明治期であることは間違いないであろう。その頃の琴ヶ浜の鳴り砂の素晴らしさを謳ってくれている貴重な出来事である。
馬路地元の田中実則氏は、漢詩で琴ヶ浜を次のように謳っている(一部の漢字が化けるので、写真としました)
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矢迫とは、仁摩町から海沿いに馬路に通じる峠道である。
矢迫の森は、松籟の響きを身体で感じることができ、鳥のさえずりに心が清する。歩く足下では落葉がカサカサと道をつくり、峠にさしかかると遠く浪音が響き潮風に変わる。白波の寄せる白砂の砂浜が木の端に浮かんでくる。好天気の矢迫峠からの展望は遠くに霞む山々の中、浅利富士がすばらしい。琴ヶ浜は今もなお素晴らしいところである。
白砂浜に踏み入ると、足裏をくすぐる心地よい震砂の動きが伝わる。光り輝く砂の動きが脳裏に浮かび、一歩一歩そしてまた一歩と歩き砂と戯れる。砂の響きは寄せる浪音と溶け合い引き波とともに去る。
2007.11.27